認知症の高齢者の中核症状にストレスや不安感が加わると、徘徊の症状が引き起こされると考えられている。この中核症状の影響で起こる徘徊の原因にはさまざまなものがある。何の目的で出かけたのか忘れてしまうなどの記憶障害や、自分の居る場所が分らなくなったり歩き回ったりする行動を取る、日時がわからなくなるなどの見当識障害、情報処理能力の低下により理解力と判断力が低下しどう行動していいのか判断が出来なくなる、相手に上手く言葉で言い表すことが出来なくなる言語障害などがある。また、順序立てて物事を行うことが難しくなり、毎日行ってきた動作でも関連して考える事が出来ずに、日常生活にも支障をきたすようになる。このようなさまざまな原因があるが、ある程度の原因が把握できれば対策を導き出しやすくなるかもしれない。
徘徊は本人にとって理由のある行動なので、何を目的としているのかを理解することが出来れば対応も可能である。たとえばトイレに行きたいが場所が分らなくなり、家の中をうろうろしてしまうこともあるのだ。この場合は自分の部屋やトイレを探している場合が多いため、声をかけて理由を聞くと良い。外出してしまう場合でも、家に居たくない理由があるので、本人の話を聞いて対応出来ると気持ちが落ち着き、徘徊を防げる場合もある。また、本人の気持ちが落ち着くような状況にすることで、自ら部屋に戻ることもある。原因が場所が分からなくて徘徊している場合、トイレや自分の部屋のドアにわかりやすく印をつけたり、動線をわかりやすくするなどの工夫をすると良い。